春の樹の花 サクラ いろいろ②
前回ご紹介したサクラは、だれが見ても桜らしいサクラですが、野山には桜らしくないサクラが何種類もあります。その中で、瀬戸や豊田など近郊の山々で見られるのが、ウワミズザクラとイヌザクラです。
どちらも、多数の小さな白い花が穂状(試験管ブラシ状)に咲き、一見サクラには見えませんが、小さな花1個1個はサクラの花そのものです。花穂と枝の間に葉が数枚あるのがウワミズザクラです。一方、枝から花穂だけ出るのがイヌザクラで、比較的まれな樹木です。
両者とも、前回紹介したエドヒガン・ヤマザクラ・カスミザクラの後に花が咲き、ウワミズザクラ→イヌザクラの順に開花します。また、ウワミズザクラの実は初秋に熟し果実酒の材料にするほか、その樹皮は木工品としても利用されます。
実は、秋に咲く桜も1種類あります。常緑樹のリンボクです。10月にウワミズザクラと似た穂状の白花を咲かせますが、樹上高くで咲くため、なかなか見る機会がありません。どの世界でも異端児っているものですね。