

秋の声 アオマツムシ

秋の夜長のころ、庭木や街路樹の樹上から、大きめなフィリリリ…という声をよく聞きます。何匹も同時に鳴くと、時にうるさく感じることがあるほどです。これがコオロギの仲間のアオマツムシです。
アオマツムシは、明治時代に、熱帯アジア地域から輸入された苗木に付いて移入された種類だといわれています。昭和49年に発刊された本では、「本州と九州の数カ所でしか記録はなく、その勢いは大きくない」と記載されています。確かに50年ほど前は、名古屋市熱田区でもまだ珍しい昆虫でした。それが今では、愛知県の平野部から丘陵地帯までの植栽木で、鳴き声がうるさいほど数が多くなりました。これは日本古来のコオロギ類で樹上性の種類は、カネタタキというごく小型の種類以外ほとんどいなかったため、激増する余地のあったことが原因だと思われます。
少しずつ自然林の中に侵入し始めていて、アオマツムシの今後の動向が注目されます。