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エゴノキの名前は
「えごい実のなる木」
がもと
エゴノキの実を運ぶ
ヤマガラを観察しよう
ヤマガラはエゴノキの緑色の実を、くちばしに挟んでどこかへ運んでいきます。絶対に、その場では食べません。他の鳥は、そんな行動をしません。
公園の雑木林で、5月ごろにかわいい白い花をぶら下げて咲いているのが、エゴノキです。英語名は、スノウベル。花の様子を、雪のように白い鐘に例えたネーミングです。では、日本名の由来は何でしょう。それは、緑色にぶら下がった実の味から名付けられたものです。私の体験では、実をほんのちょっとだけ、かじってみると、舌がしびれるほど、「えごい(えぐい)」味でした。そのため、えごい実のなる木ということで、エゴノキと名付けられたのです。
でも、このエゴノキは、昔は本当に多くの日本人が利用していた木なのです。
その1果実の皮の中に含まれるエゴサポニンは強い魚毒のため、川に流して魚を採った。もちろん、現在は使用禁止。
その2エゴサポニンは水に溶かすと泡立つことから、昔は石けんの代わりとして、洗濯に使った。
その3材が白くて均一なことから、床柱や天井板に使ったほか、細工物やおもちゃに多用した。
こうしたことから、地方名として、セッケンノキだとかチサノキという名前で古くから親しまれてきた樹木なのです。なんと、奈良時代に編さんされた万葉集の中にも、「ちさ」の名前で、大伴家持が作った長歌や短歌に登場します。
このエゴノキは、人間だけでなく、野鳥や昆虫たちも利用しています。特にヤマガラは、夏から秋にかけて、実をどこかに運んでいく姿をよく見ます。冬になってエサが少なくなるころ、隠しておいたエゴノキの実を食べるようです。ヤマガラは、夏には果実にも含まれていたサポニンが、11月を過ぎると分解して果実が渋くなくなるのを知っているようです。本当にすごいですね。
きたおかあきひこ
北岡明彦さん
昭和29年2月2日に名古屋市熱田区で生まれたときから昆虫少年。高校時代から植物青年に変身したのち成長が止まり、今も自然大好き人間のまま。森林の素晴らしさをPRする活動にまい進。瀬戸市在住。