

春を運ぶ花 ヤブツバキ
3月に入って、暖かい日が増えてきました。そんな冬の終わりから春にかけて咲く樹の花が、ヤブツバキです。庭で咲く椿の花はこのヤブツバキから園芸化されたもので、何と、日本書紀や万葉集にもツバキ市(海石榴市)の開催が登場します。今から千年以上も前のお話です。
さらに、江戸時代には尾張徳川家を中心とした名古屋の武家の間で茶道や華道など芸事が盛んになり、その一端で、茶花としての園芸ツバキの栽培が大いに発展しました。茶庭には、椿や山茶花は欠かすことができない樹木です。
野生種ヤブツバキはすべて濃赤色の花で、11月末から咲き始め4月まで次々と咲いていきます。しかし合弁花の大きな花はそのままボトッと地上に落ちることから、武士の家では「首が落ちる」といって植栽を嫌う地域もあります。
また花は甘い蜜を出し、ヒヨドリやメジロが蜜をなめに飛来するのを楽しむこともできます。