夏の湿地を彩る サギソウ
真夏の湿地は、遮るものがない猛烈な暑さとムッとするような湿気が特徴の、厳しい環境です。そんな夏の湿地を涼しげな花で彩るのが、ラン科のサギソウです。漢字では「鷺草」と書きますが、花を一目見れば、その理由が分かります。純白の花は、本当に白鷺が空を飛んでいるような姿をしています。
昔は、どの湿地にもサギソウが咲いていましたが、一時期園芸用に大量摂取されて、絶滅寸前の状態に陥ってしまいました。しかし、近年、保護対策がすすんだため、各地で少しずつ増加しています。やはり、本当に厳しい自然の中で美しく咲く花を楽しむことが大切です。
サギソウが生えるような湿地で、もう1種類、絶滅寸前のランがあります。それは、トキソウです。6月上旬に、薄桃色(朱鷺色・ときいろ)の美しい花を咲かせます。残念ながら、鳥のトキも植物のトキソウも、絶滅の恐れがあります。もし見つけても、絶対に採らないようにしてください。