春の田で咲く レンゲ(マメ科)
少し前まで、早春の田を一面にレンゲの紅紫色の花が染める姿を見ることができました。一般的にはレンゲ(蓮華:小さな花が集まって咲く姿がハスの花に似ている)と呼ばれていますが、標準和名はゲンゲです。
ゲンゲはもともと日本の植物ではなく、原産地は中国大陸です。マメ科に属するため、根にコブ状の根瘤(こんりゅう)があり、その中に住む根粒菌が大気中の窒素をアンモニアに変換して、植物に窒素分を供給しています。この働きを活用し、肥料植物として、冬の田で育てていたのです。また、花の蜜は、セイヨウミツバチにとって春の重要な蜜源でした。
残念ながら、昭和中期以降は化学肥料の利用が急増し、愛知県でも、一面に紅紫色のレンゲの花が田んぼ一面に咲く姿は、ほとんど見ることができなくなりました。化学肥料で傷んだ水田土壌の回復を兼ねて、レンゲ畑の復活が期待されます。