春の女神 ギフチョウ
(アゲハチョウ科)
「春の女神」という最もすてきなあだ名をつけてもらった昆虫が、ギフチョウです。このかわいらしい蝶は、江戸時代からダンダラチョウ(ダンダラテウ)という名前で呼ばれていました。それを現在のギフチョウと名付けたのは、岐阜市の金華山麓にある名和昆虫研究所の初代所長の名和靖(なわやすし)さんで、1883年4月に岐阜県金山町で採集した標本が基準でした。
名古屋市内でも多く見られるアゲハチョウとそっくりですが、ギフチョウは山地の林縁にのみ生息し、成虫は年1回4月ごろにのみ見られます。幼虫は観賞植物でもあるカンアオイ類だけを食べるため、それらが生える丘陵地帯が、本種の生息地域となります。成虫は近くに生えるショウジョウバカマ・スミレ類などで吸蜜し、午前中は地上近くで羽を開いている姿に出会うこともできます。
もし野山でギフチョウに出会うことがあったら、じっくり、地元の名蝶の姿を楽しんでください。