正月盆栽の花 フクジュソウ
正月盆栽の代表といえば、松竹梅(しょうちくばい)の寄せ植え。その根元を飾るのが、ヤブコウジとフクジュソウです。その心は、お金が貯まる十両(ヤブコウジ)と福を呼ぶ福寿草(フクジュソウ)です。
フクジュソウは、少なくとも江戸時代初期には正月用の縁起物の鉢植えとして栽培されていました。色変わりや姿変わりの園芸品も数多く作られ、武家の小遣い稼ぎとしても栽培されていたようです。
一方、野生のフクジュソウは、主に北日本の落葉広葉樹林の林床に生え、雪どけ直後の早春、黄金色に輝く花を咲かせます。愛知県には分布していませんが、石灰岩が地表に出ている三重県の藤原岳や滋賀県の霊仙山では、3月下旬から4月上旬に美しい花を楽しむことができます。
しかしながら、長い間盆栽用などに乱獲されてきたため、全国的に激減してしまいました。そのため、近年の正月盆栽では、フクジュソウの代わりに外国産の園芸植物を使うことも多くなりました。残念ですが、植物保護のためには、仕方がないことかもしれません。